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感想文

読書・アニメ・映画・ドラマの感想の予定。

読書感想1

 

生きていればどうしたって何かを望んで叶えられなかったり、挫折したり、努力して得たものをあっさりと小さなきっかけで失ってしまうことがある、と私は思います。そうした時に人はどうやって立ち上がれるのだろう?ということを小学生くらいの頃からずっと考えています。考える時に他の人々がどう考えているのかをしりたくて、再生を取り扱ったアニメ、漫画、小説、ドラマを好んでよく観るのですが、そのまとめをここで。

 

以下「秒速5センチメートル」「ヤサシイワタシ」「輪るピングドラム」「お迎えです。」「トーチソング・エコロジー」のがっつりネタバレがあります。spoilar alert.

今回は秒速5センチメートル」と「ヤサシイワタシ」の2つ。おそらく次回と次々回で残り。

 

秒速5センチメートル

 

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言わずと知れた新海誠の出世作。

主人公は幼少期の頃の孤独を埋め合わせてくれる初恋の人を距離や時間の流れから失って、そうして自分が何を失ってしまったのかということにもきちんと自覚できないままに心の空っぽな穴を埋めることに必死になる。

「この数年間、とにかく前に進みたくて、届かないものに手を触れたくて、それが具体的に何を指すのか、ほとんど脅迫的とも言えるようなその思いがどこから湧いてくるのかも分からずに、僕はただ働き続け、気づけば、日々弾力を失っていく心がひたすら辛かった」
「そして、ある朝、かつてあれほどまでに真剣で切実だった思いが、きれいに失われていることに僕は気づき、もう限界だと知ったとき、会社を辞めた」

 辛い。辛い...

彼は美しい過去があった、しかしそれはもう手の届かないものであって、彼自身自分が何を求めているのかすらわかっていない。そのような中、最終シーンで彼は彼女に踏切ですれ違う。踏切を渡りきったあと彼女の方を振り返る。しかし、電車に阻まれ彼女の姿をはっきりと確認することが出来ない。そして踏切が上がる。彼女は既に去ってしまっていた。桜吹雪の舞う美しいシーン。彼は穏やかな笑顔を浮かべ、前を向いて歩き始める。

これは過去との決別であり主人公は失ってしまったものを追いかけることを自然に受け入れたのだと考えています。たとえ美しい過去を失ったとしても、時間は確かに流れていて、人によって勿論そのスピードは違うのだけれども、必ず過去を受け入れられるようになる、それほどに今生きている世界だって過去に負けないくらいには美しいのだと。解決策そのいち、時間。

 

ヤサシイワタシ

 

 

おおきく振りかぶって、で有名なひぐちアサさんの大学時代のサークル活動での実際のエピソードを元にした(法政大学で心理学を勉強していたらしいです)大学生漫画。全2巻。

大学の写真サークルで若干煙たがられているイマドキで言う?メンヘラ・サークラのヤエ。彼女は良く言えば自由奔放で思ったことをすぐに口に出してしまう。(今彼の前で元カレとの性生活を語る、”面白いから”ホームレスを捕まえて写真を取ろうと言う。)悪く言えば無遠慮で自意識と自己評価が高く自分は人とは違う・認めてもらえないのは世間が間違っていると思っていて、プロになるため写真を撮りまくるも地味な技術を磨いたり他者からの批判を受け入れたりすることもできず、写真も荒やミスが目立ち自己評価と社会からの評価に大きな乖離がある。この作品はこのヤエの精神分析や周りとの関わりがとても面白いのだけれど、ここではおいておく。彼女は元カレとの写真をまとめた写真集を持って就活をするけれども、認めてもらうことは出来ず絶望する。

「ガンバってるのにナゼスゴイと言わないのよって ゆーでしょ あのひと」

「世界に 自分に 願う姿が大きく見えると 足がすくんで動けなくなったり 動いても望みをもてなくなったりするんだろ

死にたいんじゃなくて 願う姿で生きたかったんだろ 願いってかなわなかったら ダメなのか?」
「いいことを いいって言っちゃって やり始めるしか ないです」

 これはまた別ベクトルの辛さです。どうしても自己実現を思った形でできない、認めてもらえない、願いが叶わないつらさ。やりすごすしかない、とも話の中で触れられています。何かをやり遂げようとして努力したその結果、臨んだ結果を得ることは出来なかった。これは本当はプラマイでいえばプラスなことなのではないのか?ということです。努力の過程は辛いことだけでなく楽しいこと、成長できると感じたこともあったはずです。願うという行為自体、それだけで生きる意味、希望足りうることのはずであり、叶わなくても過程が確かに残る。挫折しても最悪の時期をやりすごせば、(やり過ごせるかどうかというのは紙一重の運で決まってしまうようなことではあるのだけれども)また新たな願いをやり始めて進んでいくことができるはずである、ということだと解釈しました。解決策その2.挫折は最悪な時期を必死にやり過ごしたら、いいと思うことをまたいいと言ってやりはじめる。

 

挫折しないと万が一の時に折れやすくなるよ!とか何か喪失していないと人に優しくなれないよ!とか挫折の大切さや意味を訓示してくれる人がいますが、いや挫折や喪失は無いほうがいいだろうっていうのが私の意見です。こういう作品を好んでいるけれども悲劇のヒロイン願望があるわけではないです。できるなら優しい人に囲まれて甘やかされてぬくぬくと高等遊民のように暮らしたい。

 

P.S.

秒速は本当は第二話が佳苗ちゃんの片思いが苦しくて好きです。

大学生のサークルってヤサシイワタシみたいな感じかな〜と思ったら田舎の大学過ぎてそんなことはなかった。東京の私立はどうなんだろう。

以上2525文字。キリが良くもなんともない。