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妊娠のタイミング

 

女子高校生の妊娠について

 

www.huffingtonpost.jp

 

先日、女子高校生が在学中に妊娠した為高校側から体育の実習の強要を受け3年で卒業できなくなってしまった、という記事を目にした。

この件についてはTwitter上で色々な意見を目にするのだけれど、大別すると高校の対応に同意する側と否定する側に分けることができる(それはそう)。

 

同意する側の意見
  • そもそも体育に不参加だったのだから単位が認められないのは正当
  • 不純性行為をした女子高生に非がある
  • 産前産後に休みをとることはふつう
否定する側の意見
  • 身体的理由により体育の実習が受けられない場合は高校側が代替措置をとるべきである
  • 16歳以上の女性は結婚も認められているのであるから、高校生も自由に妊娠出産できるように環境整備をすすめることが社会福祉である

 

10代での妊娠

ここでは高校側の措置が適切であったかどうかを一先ず棚に上げ、高校生が妊娠することは社会的にどうであるか、について議論したい。

日本で10代のうちに出産する女性はどれほどいるのだろうか。厚生労働省の平成26年(2014)人口動態統計によるとその数13011人(2014年)である。うち14歳以下で出産しているものは43人、出産した人の総数が1003539人であるので割合としてはおおよそ1.3%ほどである。出産した人の割合ではなく高校生に当たる年代の女性の中で出産する女性の割合はどの程度かというと、15歳から19歳の女性は2890000人(2016年)だとして0.45%である。また10代で中絶手術を受けた者の数は19639人である。(2014年:初めて20万人を下回った)。このことから例え妊娠しても10代は中絶を選ぶことが多く、10代で出産を経験する女性はかなりまれな存在であるといえる。

実際問題として、10代で妊娠出産子育てをするのは社会的に厳しいと言わざるをえないだろう。

 

学生では無理、ではいつなら?

先日日経からこのような記事が出ていた。

style.nikkei.com

 

たとえば34歳までに子どもを2人以上産み育てつつ就労継続すべしという、政府推奨の理想的ライフコースを再現すると、次のようになる。

まず、22歳で大学を卒業するまでにファミリーフレンドリーな会社に内定をもらう。そこから3年間血眼で婚活し25歳までに伴侶候補をつかまえる。結婚相手との平均交際年数は4年、結婚準備に半年から1年かかることから逆算した年数である。

そして交際3年以内にプロポーズにもちこみ、28歳で婚約、29歳で結婚。直後に妊活し30歳までに妊娠。排卵は1年間12回だが、最短で職場復帰するためにベストな出産時期は自治体が来年度の保育所募集を締め切る前の8~10月であり、排卵3回分しかチャンスがない。

このように31歳までに第1子を出産、妊娠中から保活して託児先確保、32歳で職場復帰。さらに第1子は1年以内に卒乳し排卵を回復して33歳で第2子妊娠、34歳で第2子出産。これらをこなしつつ、妊娠予定の30歳までにマタハラにあわず大手を振って産休・育休を取得し得る程度のキャリアを確立せねばならない。

 

いつなら一体出産を社会的に許してもらえるんだ...と考えた時、意外と妊娠出産子育てのチャンスが社会的に認められ受け入れられている期間はそう長くはない。

 

社会がより妊娠出産子育てのために女性本人のみならずそのパートナーや周りの人々が支えていくことに理解を持ち、当事者たちが自分たちに最も適した時期に子育てを行えるよう社会的、制度的にも支援をうけられるようにすることが求められている。